スカイラインR31型の車検
今回のお話は以前行ったスカイラインの車検です。
オートクラフトでは、普段使いの軽から高級車やスポーツカー、バンやトラックなどの仕事用の車までいろいろな車の車検を行っています。
車は長く乗っていると様々な部品が経年劣化していきます。例えば、ゴム製のブッシュが固くなってガタついてきたたり、オイル漏れなどを防ぐガスケットが劣化してオイル漏れがおきたりします。そういう場合は部品を交換するしかありません。しかし、今回の車はスカイラインR31型。普通の車とはちょっと事情が違います。
クラシックカーのレストア事情
海外では、クラシックカーを買ってきて、自分で修理したり専門業者に修理してもらったりして乗るという人がかなりいるようです。レストアの仕方などを扱うテレビ番組もCSなどで放送されています。
一方日本では、クラシックカーを修理して乗る方もいらっしゃいますが、一般的に行われるほどは定着していません。
車メーカーが車の販売を終了すると、しばらくして部品の製造も終了になります(メーカーや車種によってその期間は変わります)。
海外ではクラシックカーを修理して乗る人が多くいますから、クラシックカー用の部品も充実しており、部品を修理してくれる業者さんも数多くいます。また、製造中止になった部品を製造する会社もあります。しかし、日本では製造中止になった部品は、(最近一部の部品で再生産が始まりましたが)基本的にどんどん数が減って入手困難になります。
スカイラインR31型
スカイラインR31型は、日産の世界に誇るスポーツカースカイラインの7代目にあたります。販売されたのは1985年から1990年までで、今からおよそ30年前の車になります。クラシックカーと呼ぶべき古い車ですが、そのスタイルと走りで根強い人気を誇る名車です。
R31はいい車です。とてもいい車です。本当に素晴らしい車なんです。
でも、古い車なので、修理が必要な個所は多く、そして部品が手に入りません。仮に手に入ったとしても、高くてとても全部は手が出ません。状態のあまり良くない中古品でも驚くほどの値段がついています。例えば、車検に通るかどうかぎりぎりという状態のヘッドライトで当時20万円位の値段がついていました。
今回のミッション
今回のミッションはシンプルです。スカイラインR31の車検。
しかし、その道のりは遠いものでした。
交換が必要だったのは、ヘッドライト、燃料を噴射するインジェクタ、エンジンに空気を取り入れるインテークマニホールドのガスケットです。
ヘッドライト
ヘッドライトは前述のとおり新品はなく、中古品でも状態の良く無いものしか無いので(しかも驚くほどに値段が高い)、ヘッドライトのリフレクターをメッキ塗装し直すことにしました。
塗装前のリフレクター。メッキ塗装がかなり傷んでいて、これでは車検に通りません。
リフレクターをきれいにして下塗りをした様子。
メッキ塗装をしました。反射がまぶしい、良い仕上がりです。最初とは全然違いますね。
実際、完成した後に計測したら、塗装前と比べて光度が5倍になっていました。
ヘッドライトに戻しました。部品を戻して、ガラスカバーを付けたら完成です。
ガラスカバーを取り付けるために、ブチルゴムのシーリング材を付けている様子。左の女性は、日本で研修中だったミャンマー支店KAPのスタッフです。
インジェクタ
インジェクタについては、部品屋さんや知り合いの車屋さんに探してもらったり、インターネットで探したりしても、新品はもちろん使える中古部品もありませんでした。
困り果てていた時に、インジェクタの再生洗浄をされているIRSさんが、お持ちのスカイラインR31用のインジェクタの中から、使えるものを選別して融通してくださいました。
交換前のインジェクタの様子。この状態では正常な燃料の噴霧ができません。
融通していただいたインジェクタ。おかげで名車を一台救うことができました。
インジェクタを交換した後。こうやって比べてみると、違いは一目瞭然。
インテークマニホールドのガスケット
インテークマニホールドのガスケットはどこを探してもなかったので、自分たちで作ることにしました。
まず、インテークマニホールドの型を取ります。この時は、正確に型を取るために、インテークマニホールドをコピー機でコピーをとって、出てきた用紙を切り貼りして型を作りました。
型に合わせて、ガスケット用のシートに形を書き、切り抜きます。
ガスケットをあててみた様子。コピー機でコピーしただけあって、ぴったりです。
車検を終えて
これらの交換やその他整備で、無事に車検を終えることができました。時間と手間はかなりかかりましたが、予想よりはるかに安く車検を出来たのでオーナーさんは大喜びでした。我々も作業が大変でしたが、名車を救うことができて大満足でした。